借入期間は35年が本当に正解? 不動産コラム
こんにちは、コヴァエステートです。
マイホームを購入する際、何気なく「ローンは35年」と決めていませんか?
確かに35年ローンは長く一般的な選択肢として定着していますが、最近では月々の返済負担を抑えるために、**40年や50年といった“超長期ローン”**を選ぶ人も増えています。
今回は、ローン年数ごとの特徴と注意点を整理しながら、実際にどれくらい支払いが変わるのかをシミュレーションを交えてわかりやすく解説します。
1. 「35年ローン」が主流になった理由
かつては住宅ローンといえば25年〜30年程度が一般的でしたが、住宅価格の上昇と家計の多様化を背景に、より長期でゆとりを持って返すスタイルが定着しました。
特に35年ローンは、月々の返済を抑えつつ、無理のない資金計画を立てられる点が評価され、現在ではほとんどの金融機関が標準プランとして採用しています。
また、返済期間を長く設定しておけば、将来的に収入が増えたときに「繰上げ返済」で期間を短縮する柔軟な対応も可能です。
2. 「40年」「50年ローン」という新しい選択肢
近年、若い世代や共働き世帯を中心に注目されているのが、40年〜50年の超長期ローンです。
例えば、PayPay銀行やARUHIなど、一部のネット銀行・住宅ローン専門機関では、最長50年まで返済期間を設定できる商品を提供しています。
月々の返済を抑えやすいため、住宅価格が高騰する中でも「理想の立地や間取りをあきらめずに購入できる」というメリットがあります。
ただし、対応している金融機関はまだ限られており、利用条件(年齢・物件条件・保証制度など)が厳しい場合もあるため、事前の比較検討が欠かせません。
3. 借入期間別のメリット・デメリット
| 期間 | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| 35年ローン | ・商品数が多く、選択肢が豊富 ・完済年齢が比較的若く、老後負担が軽い ・繰上げ返済で柔軟に短縮可能 |
・月々の返済がやや高め ・若年層には負担を感じやすい場合も |
| 40年ローン | ・月々返済が軽く、家計にゆとりが生まれる ・借入可能額を増やせる ・団信(生命保険)期間も長く設定可能 |
・総支払利息が増える ・完済が定年後にずれこむ可能性 ・対応銀行が限定される |
| 50年ローン | ・月々支払いを最小限にでき、若いうちに購入がしやすい ・購入予算の幅が広がる |
・総支払利息が大幅に増加 ・完済年齢が70〜80歳近くになる ・金利がやや高め、商品数が少ない |
4. 【シミュレーション】3,500万円を借りた場合
(※金利1.0%/元利均等返済・頭金なし・ボーナス返済なし)
| 返済期間 | 月々返済額(概算) | 総支払額 | 支払利息総額 |
|---|---|---|---|
| 35年(420回) | 約 98,900円 | 約 4,155万円 | 約 655万円 |
| 40年(480回) | 約 89,000円 | 約 4,272万円 | 約 772万円 |
| 50年(600回) | 約 75,000円 | 約 4,500万円 | 約 1,000万円 |
ポイント解説
- 35年と40年では、月々の返済差は約1万円ほど。
- 50年ローンでは毎月約2万〜2.5万円安くなる一方で、支払う利息が約1.5倍になります。
- 月々の余裕を取るか、総支払額を抑えるか──家計とライフプランに合わせた判断が大切です。
5. 自分に合った返済期間を見極めるポイント
① 完済年齢を意識する
退職後の収入を考えると、60歳〜70歳までに完済できるプランが理想です。
② 繰上げ返済の余力を確保する
長く借りても、将来的に繰上げ返済すれば実質的に期間を短縮できます。
③ 金利タイプとの組み合わせ
返済期間が長いほど、金利変動の影響を受けやすくなります。固定・変動・ミックスを慎重に検討しましょう。
④ 銀行選びを慎重に
40年・50年ローンは取り扱いが少ないため、対応銀行・金利条件・完済年齢上限などを事前に比較することが重要です。
まとめ
35年ローンは今も主流ですが、**「長く借りて、無理なく返す」**という考え方が広がる中で、40年・50年といった長期ローンも現実的な選択肢になっています。
大切なのは、「何年で返すか」ではなく、「自分の収入・家族構成・将来設計に合わせて、安心して返せる計画を立てること」。
ローンの仕組みを理解し、複数の銀行で比較・シミュレーションを行うことで、最適な借入期間が見えてきます。


